1.はじめに
「都市計画」とは何だろう。本学12学科17専攻のうち、4学科6専攻には「都市計画」およびその関連領域科目が設置されている。多くの学科・専攻で教授されているということは、それだけ多様な視点、価値、課題を持つものといえよう。では、逆に学科・専攻で「都市計画」を学ばなかった者は「都市計画」がわからないのだろうか?否、都市は人びとが生活し、働き、憩い、活動している場であり、ほとんどの人はその現状や課題を体験し、理解していよう。電子顕微鏡を利用しなければ確認できないものや、人類が到達していない未知の領域を対象とする学問とはこのあたりで異なっている。
また、ユートピアのような「計画」都市、理想都市を計画・実現する学問と勘違いされることもあるが、これらは「都市計画」の一部分でしかない。
2.「都市計画」へのアプローチ
人びとが集まって生活するようになり、集落・町・都市が形成されていく過程で、都市をどのように形づくるかが検討され、理念としての「都市計画」が誕生していたことは間違いない。この点からいえば「都市計画」は人類の歴史とともに古いといえよう。しかし、「近代都市計画」の歴史はわずか100年程度のものである。ここであえて「近代」と断るのは、産業革命以降の諸環境の悪化を都市問題ととらえ、その改善を行うために、綿密な調査・数値解析・土地利用の検討が行われ、その結果にもとづいて「計画」が立案されるようになった「都市計画」のことをさしているためであり、それ以前の経験や地形に左右される都市づくりとは一線を画すからである。
では、100年間に「都市計画」で何が行われてきたのだろうか?法律が制定され、インフラストラクチュアが整備され、工業と住居の棲み分けが図られ、人びとが安全に住む場所が提供され、道路や公園などの公共スペースが配置されてきた。すべて人びとが「暮らしやすい都市」を実現するためのものである。ところがこれらはいつか終了するものではなく、継続し繰り返し行われている。「都市計画」の課題への対処に終わりはない。時代や社会背景を受けて解決の方策や方針が変化するものの、引き続き「暮らしやすい都市」を目指して努力し続けるものである。
さて、最近の「都市計画」の課題は何だろうか?
1) 住民、NPOのまちづくりへの参加
2) マスタープランの立案
3) 都市再生のための手法の検討
4) 都市防災の確立
などがあげられている。
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